SPARTATHLON 2007 この区間が一番楽しかったかも♪
在りし日の己れを愛するために 想い出は美しくあるのさ
遠い過去よりまだ見ぬ人生は 夢ひとつ叶えるためにある
奇跡のドアを開けるのは誰?
微笑みよ もう一度だけ
君は気付くでしょうか?
その鍵はもう君の手のひらの上に
Why baby? Oh, tell me.
「愛」失くして「憎」も無い?
見て見ないようなフリ
その身を守るため?
Oh, baby you're maybe.
もう少しの勝負じゃない!!
くじけそうなFeeling 乗り越えて
One more chance. I talk to myself…
Oh, baby. No maybe.
「愛」失くして「情」も無い?
嘆くようなフリ
残るのは後悔だけ!!
Oh, baby. Smile baby
その生命は永遠じゃない!!
誰もがひとりひとり胸の中でそっと囁いているよ
「明日晴れるかな…」
遥か空の下
出発2週間前にはもうスパルタに行くのは止めようかと思い悩んだこともあった。
私にはあんなに遠くまで走りに行く理由があるのか。
家族に不自由な思いをさせてまで無理して行かなきゃいけない、スパルタってそんなに大事なレースのか?
今のままじゃ完走なんておそらくダメでしょう〜そんな声が聞こえてきた。
もぐら叩きゲームのように頭をちょこっと出せばいきなりハンマーでボンって叩かれる…そんな毎日を送っていたような気がしていた。
でも、それでも走りに出かけた。
走っていれば全てを忘れていられる。
泣きながら走っていたこともあった。
・・・でも走るのだけはやめなかった。
嵐の中走ったじゃないか。
猛暑の中でも走ったでしょ。
雷の中だって。
だから、走れるよ。
負けちゃぁダメだ。
サンガス山を降りると、辺りは靄が掛かっていた。
薄っすらとしか見えていない。
もうすぐ日が昇る。
そうすれば少しずつ元気になれるはずだ。
明日が来る
■81kmヘラスカンのエイド
ここで坂本サポート隊の皆さんからお素麺を頂く。
さっき40km付近で一緒に走っていたはずのエイちゃんがそこにいた。
エイちゃんとはこの一年ほとんどのウルトラレース会場で会っている。
私と“ウルトラ時計”が一緒だった人だ。
エイちゃんがここにいることを見て全てを悟ったがこんな時に何て言葉を掛けて良いものか、気が利かない私。
エイちゃんは明るい声で“ここからはサポート隊に回りますからね!何でも言って下さいね!”と。
その言葉通り、エイちゃんは自分の使うはずだったサプリメントや給食まで私に回してくれたり、ランナーでしか分からない細かいサポートに気を使ってくれた。
一番嬉しかったのは、ドラえもんポッケからCP一覧表を落としてしまって、関門時間や接触可能なCPが分からなくなってしまっていた時に、“俺のを使いなよ!”と手渡してくれた。
私はこの後CP表を見る度に必ずこのCP表をレオニダス像まで運ぶんだと思った。
素麺を2杯頂いて『行ってきまーす♪』とエイドを出た。
ここを出た直後にトイレに行きたくなった。
でも…トイレを借りれそうな建物は見当たらない。
どーしようか。
答えは一つ。
お外トイレ。
まだ明るいのでとにかく絶対見えない場所を探そう。
キョロキョロしながら良さそうな場所を探したが、中々見つからない。
結局コースからかなり離れた木陰へ移動した。
こんなコトを二、三度繰り返しているうちにお外トイレは平気になった。
ヒヨコががね
お庭でピョコピョコかくれんぼ
どんなに上手に隠れても
黄色いあんよが見えてるよ
だんだんだれが めっかった
自分では上手に木陰に隠れているつもりであったのだろうが、見えていたんだろうなぁ。
見て見ぬふりしてくださった方もいれば、“うん○タイムですか〜?”と声を掛けてくれた人まで…お気遣いありがとうございました。
この辺りは葡萄畑が続く田舎道になる。
小さなアップダウンが続いてるけれど、ここまで想定通りのペースで来ているので今無理してペースアップする必要もない。このまま次の大きなCPであるネメア(124km)へ行こう。
その途中のCP.27(97.5km)でのこと。ここには美味しいブドウがあると聞いていたのでテーブルに置いてあったブドウを何粒も頂いた。
そして『エッ』と私は小さく声を上げた。
エイドの隅に横座りしているYUJIがいた。
まさか…まさか。
気持ちが悪くて何度も吐いたりしているらしい。
私も24Hレースでは吐いたりすることが何度もあったのでその辛さは痛い程分かる。
ジッとしていても気持ちが悪いのに、そのまま身体を動かし続けるのは本当に過酷な作業。
それでも言わずにはいられなかった。
『YUJI一緒に行こうよ』
YUJIはスクッと立ち上がって私と一緒に走り始めてくれた。
どうか復活できますように。
彼はフルマラソンを2時間30分ちょっとで走る高速ランナー。
そして6月の夢の島24H走で258kmも走ったウルトラランナーでもある。
私が彼と同じペースで走るなんて日本では考えられない。
スパルタというレースは本当に何が起こるか分からないのだ。
YUJIという心強い騎士(ナイト)を得た私はここからネメアまではとても快調に走らせてもらった。
またこの区間ではスパルタの1/2以上の行程を一緒にまたは前後しながら走らせてもらい、ほぼ同じタイムでゴールしたアン坊主さんとの出会いもあった。
やがて夜がやって来た。
とうとうライトの出番だ!
ライトはヘラスカンで既に受け取りウエストポーチに入れておいた。
ヘッドライトを付けて走ることに何だかウキウキしていた。
この夜を何とか凌いで、サンガス山を越えればきっと完走が見えてくるはずなのだ。
どうか道を間違えませんように!
そして、そんな時に始まったのが…下痢。
避けては通れないとは思っていたがやはり突然やってきた!
暗くなっていたのでちょっとした茂みがあればすぐに飛び込んだ。
何度も繰り返しているうちにティッシュがなくなりCPではトイレットペーパーをぐるぐると手に巻きつけ大量に分けてもらったり、それも足りなくなるとアン坊主さんのティッシュまでも奪い取りトイレ通いをした。
下痢止めはマックに教えてもらった作戦でレース前に一度飲み、4時間毎に整腸剤も飲んでいたがやっぱりダメだった。
下痢が始まってからも下痢止めを2回服用したがそれでも止まる気配は一向になかった。
ただ…精神的ダメージはなかった!
『あー、ドバッーといっぱい出てスッキリ』と言ってはアン坊主さんにドン引きされた→もう表現はめちゃくちゃ。
そして何よりもお腹が空いてたまらない。胃腸は動いているようだ。
CP毎に食パンに蜂蜜、ヨーグルトに蜂蜜、クラッカー、りんごなど必ず何かを食べた。
ただし夜は冷たいお水を避けて沸かしてある白湯をペットボトルに入れてもらった。
大好きなアミノバイタルもレースの最後まで飲むことが出来た。
レース中に気持ち悪くなるコトが一度もなかったのが今回の完走のポイントだったのかも知れない!
■CP.35ネメア(124km)
21:19(14H19')