SPARTATHLON 2007 やっと半分、まだ半分

シービスケット』(Seabiscuit)
2003年公開のアメリカ映画。
大恐慌時代のアメリカに実在した競走馬<シービスケット>と、それを取り巻く3人の男たちの姿を描いたローラ・ヒレンブランドの同名の小説を原作としてゲイリー・ロスが監督と製作、さらに脚本を兼任した。
また、主演のトビー・マグワイアは製作総指揮も担当した。
第76回アカデミー賞では、作品賞を初め7部門にノミネートされた。



私はこの映画が大好きで日本で公開された時には3度映画館に足を運んだ。
そして、大切なレース前にはいつもこの映画を見ています。
もちろんスパルタ前にも。


誰だって時には負けることはある
肝心なのは そこで逃げ帰るか
闘うか


■ネメア(124km)のCP
初めて腰を下ろして休憩することにしました。
『ピラフをどうぞ』と言われたけれど、しょっぱ過ぎて2、3口しか食べれなかった。
そこで、坂本サポート隊の方にお味噌汁にご飯を混ぜて“猫まんま”を作ってもらった!
美味しい♪私はやっぱり日本人だ!


毛布を被って夜間用にお着替え。
CW-Xプロモデル・ロングタイツ、X-FITロングシャツを半袖シャツに重ね着した。

このエイドには名古屋の走るお医者さんKAMEIさんが先に入っていました。
ウルトラでの医学的な疑問はいつもKAMEIさんに相談させてもらっています。
KAMEIさん…かなり辛そうな表情をされていました。
調子が悪いのでしょうか?アテネ入りがレース前日のエントリー受付時間ギリギリだったのでその影響もあったのかも知れません。

ほとんど同時にこのエイドを出ることになったけれど『先に行きな。頑張るんだよ』と声を掛けてくれました。
『私は絶対後から来て下さいね』と言い残して走り始めました。
ここでも自分より走力がずっと上の人を追い抜くことになります。
最初に会ったYUJIにも『先に行ってください』と言われ既に別れて走っていました。

レースをどのように運ぶかはとっても難しいです。


今回女子の優勝に輝いたのは同室の方(明子サン)でした。
明子サンのレースに掛ける思い、優勝したいというモチベーションは一緒に過ご
した時間、ひしひしと伝わってきました。
優勝を狙う人のお手本とも言えるような意識の高さに脱帽でした。
一緒に過ごせた時間にとても良い勉強が出来ました。

私はどこのCPかは忘れたけれどサポート隊の方から『10分前に4位の女性が行っ
たばかり。このペースだったら絶対抜かせるからね。順位が上がるよ』と言われたのに、追いませんでした。
一つ上の順位よりも完走を選んだのです。
これでもし少しでも順位やタイムを狙う走りをしたら、どこかで潰れてしまうかも知れない…と思うと冒険出来なかったのです。

実際はゴールした時には更に一人抜かれていたので女子6番目のゴールになります。
やはり実力もまだまだ順位を狙えるようなレベルではなかったということですね。
スパルタは順位を狙うなら3位までに入らないと意味がないとも感じました。
もちろん私が4位の人に向かって『あなたと私はそんなに変わらない』とは言いませんが、3位と4位じゃ雲泥の差なのです。

なので男子で2連覇優勝したスコットさんも女子で優勝した明子サンも多くのプレッシャーの中で狙い通りの優勝は、本当に価値があることです。
二人ともとっても輝いてます。


再びアン坊主さんと二人旅。
アン坊主さんは私よりもウルトラ経験が浅く100km以上の距離は走ったことがないらしいです。
けれど走力はかなりのもの。私も元気だけどアン坊主さんはもっと元気!
上りでは彼のスピードに付いて行けず待ってもらうこともありました。
二人ともスパルタが初めてなので『絶対道を間違わないようにしようね』と言いながら、ライトで確認しながら、
ずっ〜としゃべくりラン。夜道が怖くなかったのは彼のお陰ですね!

そして 次のCPで西くんに出会いました。
今年の富士五湖100kmチャンプである西くんにここで会うってことは大きなトラブルがあったはずです。
でも西くんは私に『ここからダートが続くよ。一緒に行きましょうか?』と優しい言葉を掛けてくれました。
このダートからサンガス山降りるまでは気が抜けない区間になると予想していただけにトレイルランナーでもある西くんに出会えた私は超ラッキーです。


不整地は苦手!
とにかく転ぶセンスが天才なんだ、私。
思いっきり豪快に転びますから。


西くんは『ここ気を付けてね』『こっち側走った方がいいよ』『この坂は無理せず歩こう』等、私に気を配ってばかりいてくれました。
西くんは私に出会ってアンラッキーだったかも。
ごめんね、西くん。

しかしここでも西くんそしてアン坊主さんに少しずつ遅れてしまい何度か待ってもらうことも。
走力の差があるし、足元を気にしすぎてちっとも前に進まないのです。
嫌いじゃないけど得意じゃない。
日本に帰ったらトレイルランナーになってこういう道を颯爽と走れるようになってやる〜!

待ってもらうのが申し訳ないのでCPでは欲しいモノをサッサと手にして『先に行ってるね〜』と彼らを残して走り始めます。
こうすると数分後に追い付いて来てくれます。
ダートが終わっても想像以上にキツいアップダウンが続いていました。
歩きもかなり入れました。
こういう道は後のダメージが怖いから足を温存です。

噂で聞いていた酒場のCP.40マランドレニに到着しました。
ほんとだ、こんな夜中にたくさんの人が宴の真っ最中です。
エイドでボランティアしているのはかなり若い子に見えるんだけどこんなに夜遅くまで大丈夫なのかと心配になります。
西くんはここでトイレを借りゆっくりと休みたい様子だったので私とアン坊主さんは先行しました。
ビギナー二人になると途端に不安が募ります。

■CP.43(148.5km) リルケ
1:11(18H11')

気が付けば、もう日付も変わって真夜中なんだよね。
サポート隊から夜食?の“おかゆ”を頂く。
梅干と一緒に食べる。うーん、美味しいごはん。
眠気防止の“眠眠打破”をごくっと一本。


そしてここを出ようとした時に、でっしーに遭遇!
でっしーとは9月の夜間走で一緒に練習させてもらったコトがあります。
スピードランナーのでっしーは亀さんランナーの私とは世界が全然違う素晴らしいランナーです。
しかし今夜のでっしーは疲労困憊の様子。
『1回は10位まで順位を上げたのに、お腹が痛くなってしまって…』とかなり残念そうな表情。


そこからゴールまではアン坊主さんと共に抜かしたり抜かされたりしながらゴールに向かいました。
スパルタデビュー3人で爆走です!


それにしてもいつまで経ってもサンガス山の麓に近付きません。
高速道路のランプの明かりが近くなったり遠くなったりしているだけで、いったい登り口はどこにあるんでしょう?


やっとつづら折りに出ました。
ここが終わればサンガス山の麓のCPに出て登山道が始まるはず。
つづら折りの道はそんなにきつくないはずだけれどほとんど歩いて上りました。
時々走ってみましたが歩いているのと速度は変わらないので諦めました。


サンガス山の麓のCP.47でウインドブレーカーと軍手を着けました。
思ったよりは寒くなかったけれど腰に巻き付けて走るよりは着た方が動きやすい気がして。
さぁ〜待ちに待ったあのサンガス。
かなり気持ちは高ぶっていたはずです。
CPを出ようとしたら、坂本さんサポート隊のみんなが駐車場から走ってきて私の名前を大きな声で呼んでいます。

『ライトのバッテリーも上着もちゃんと大丈夫ですね?』と確認してきました。
『他に欲しいものはない?』
サプリメントはある?』と。
口々に私のことを心配してくれています。
実は一つ前のサポート可能なCPから続けて二箇所、私がサポート車に預けた荷物が受け取れない状態が続いていました。
サポート車は2台あって速いペース、遅いペースと自分で選択して車に預けます。
私はスタート時に、後の車に預けておきましたが、前の車でサポートしていた人達がペースダウンし、
いつの間にか私はツアーの中で明子さんに続き2番目で走っていたようです。
前の車、後ろの車はCPで一度合流して荷物の入れ替えをすることになっていたのですが
後ろの車が途中で壊れてしまったりといくつかのトラブルに見舞われ荷物の預け変えが出来なかったようです。

私は『だいじょうぶ〜♪』と大きな声で手を振りながら返しました。
これも、スパルタスロン
トラブルがあるのは当たり前と思う事が出来ました。
幸いにも早目にライトも上着も引き取っていたので問題はなっかたし。


さぁ、先へ。
サンガスへ。