SPARTATHLON 2007 これが、あの、サンガス山

心・技・体
この3つのバランスが取れていれば『完走』の確率が高くなる気がします。
どれか1つ欠けてもダメだし、どれか1つばかりに頼ってもダメです。
この3つのバランスが取れていて更に1つずつが高い程、パフォーマンスが秀でるはずです。


『心』…出発直前には気持ちは固まっていました。
どんなコトが起ころうと絶対、完走してみせる!
たくさんの方からもらった気持ちに応えたい。

後は“意地”だけでしたね。
負けるもんか!の気持ち。
夢は簡単に諦めない。
迷いや不安はなかったです。
無我夢中だったのかも知れません。


『技』…色々な方の完走記を片っ端から読み漁りました。
レース表を作ってみて主要CP毎に関門何分前に通過するか、その場合のペース配分、コース状況などを書き込みました。
特に初参加で完走している方には絶対何か完走のヒントがあるはず!と参考にさせてもらいました。

24時間走には出ているので『24時間以内と200kmくらい』までの世界は経験済みですが、そこから50km、12時間は想像が付きません。200オーバーのワンウェイレースに一度でも参加しておくべきだったかな…と。
けれど、やってないものは今さら仕方ないので、持ってるものを最大限利用するしかないですよね。

けど最後の最後は私の『技』ではなく、坂本ツアーサポート隊の『技』に助けられました。


そして、『体』…これが一番大変でした。
7、8月の走り込み期間になっても、“足が痛いかどうか”ばかり気にしながら走っていました。
ペースも距離もタイムもコントロールできるような走りではなく、痛みとの闘い。
痛いのは足の裏なのに、痛みは脳天まで響きます。
ひどい時には家を出て次の角を曲がって、走れない…と引き返してくることもありました。

何でこの時期にこんなコトになってしまうのか…。
何で今なの?

でも、諦めるわけにはいきません。
そんな時に助けていただいたのが内田勝久先生でした。

先生に最初の診察で『先日24時間走という競技に出て200km近く走ったのですが、
足の爪は4枚ありません。あと、右足指が3本感覚がありません。足の裏の神経が剥き出しになってるように痛みます。でも3ヶ月後には36時間制限の246kmのレースに出て完走したいんです』とお話したら、
先生『…』絶句でした。
多分…何もかも???の世界だったと思います。
世界選手権100kmの日本代表の方は何人か通ってらっしゃるのでそこまでは分かるけれど、それ以上の距離競技については私が最初の患者だったようです。

そして3ヶ月後にはスタート地点に立ち、完走まで出来る身体にしてもらいました。
レース後は小さな水膨れが人差し指にぷくっと出来ただけですみました。
写真は先生に帰国後スパルタ完走の報告に行った時の治療院での1ショットです。
先生は自分のことのように喜んで下さいました。
ありがとうございます。




■サンガス山
富士山の9合目あたりのガレ場に似ていると聞いていました。
誘導するランプが等間隔に灯されているのでこれを頼りに登っていけば遭難する心配はありません。
但し狭い登山道、一歩でも足を踏み外せば転落して発見は明日の朝でしょうか?


いつの間にかアン坊主さんやでっしーとは離れていました。
彼らが前にいるのか後ろにいるのか、つづら折りの区間で抜いたり抜かされたりしている間に分からなくなっていました。


余りにも静かなので、歌を口ずさみながら登って行ったのですが、誰も後から登ってこないようなので声はどんどん大きくなっていきます♪
調子に乗って気持ちよく歌っていると二人の男性に次々と抜かされました。


舗装路の峠越えならまだ理解出来ますがけれど、どうしてこんな夜中に登山道がコース設定になっているのでしょうか?

いったい優勝したスコットはここをどれくらいで通過しているの?
キロ5分で走っていても13時間以上は経過してるはずだから日はどっぷり暮れていて夜道なはず。


この有り得ない設定…面白いじゃないか!
これこそがスパルタの醍醐味なんだ。
リピーターがどんどん増えて行くのはこのコースは一筋縄にいかないレースだからかな。


因みに登りは37分かかりました。遅い。
頂上で椅子に座らせてもらい温かいスープをいただいて…下山。

うっ〜、何、何?この歩きにくい道は!→最初から走るつもりは全く無し。

きゃー、ひゃー、げっー、と叫びながらズリズリ滑りながら降りて行きました。
下りには40分以上かかりましたが、一度も転ばなかったのは上出来かも。


やっと下山して改めてサンガス山を見上げました。
こんな所を登って下ってきたんだ。
誘導灯はまるで天の川。無事に渡り終えた私は天空からワープして現実の世界へ。


そして、まだまだレースは続きます。
そしてここからが、大変でした。
(完走記はなかなか進みません・・・)