SPARTATHLON 2007 欲しくば取りに来い!
ここにあるのは、完走メダルと同じくらい大切なコイン。私の宝物だ。
スパルタの町に入りとても暑さを感じた。
喉がカラカラだ。
ゴールはどこだか全く見えない。
こんなところまできて倒れてしまっては元も子もない。
ウエストポーチに入っている50セントユーロを取り出した。
近くにあったガソリンスタンドに飛び込み冷たいミネラルウォーターをケースから取り出した。
お店にいた若い女の子にコインを渡すと『お金はいらないわ。持っていって!貴女素晴らしいわ』と言って何度も拍手をして送り出してくれた。
店を出ると、イギリスの男性ランナーに出くわした。
彼の足取りもかなりフラフラしていた。
私は自分でまず一口頂き、彼に『飲む?』とボトルを渡した。
彼はごくごくと美味しそうに飲み、続いて頭に水を掛けた。
(あっ…あっ…なくなっちゃう。でも、いいか。)
彼は飛び切りの笑顔で私にお礼を述べてくれ、ボトルを返してくれた。
わずかに残ったお水を私は飲み干した。
また歩いたりゆっくり走ったりしながらゴールへ向かった。
日本のキオスクみたいなショップを見つけた。
今度はコーラがどうしても欲しくなった。
コーラをケースから取り出し、お金を渡そうとするとここでも『それは私からのプレゼントにするわ。ゴールはもう少しよ。さぁ行きなさい』と。
嬉しくて…嬉しくて…。
手の中にあるコインをグッと握りしめた。
こんなに美味しいコーラは始めてだった。
『ブラボー』『ブラボー!』『ブラボーー!』の声がどんどん大きくなってきた。
大きな拍手と歓声に包まれながら、レオニダス像に向かった。
お友達のmanimaniと途中一緒に走ったYUJIが声を掛けてくれた。
manimaniは『恵美さん、取りにきましたね』と言葉を掛けてくれた。
その言葉を聞いて堰を切ったように涙が溢れた。
先にゴールしたランナーや残念ながらリタイアしてしまった人達からもたくさんの拍手で向かい入れてもらった。
涙が止まらない。
そして、とうとうレオニダス像の前へ。
夢にまで見たレオニダス像。
1歩ずつ1歩ずつ階段を上がり、レオニダス像の左の足にタッチをした。
そしてゆっくりと口づけを。
長い旅が今、終わった。