神流に酔いしれて

週末は現実逃避したくて群馬の神流町へと遊びに行って来ました。

女将といっしょに旅して、お酒飲んで、トレイル走って楽しんじゃおう!くらいな気持ちで出掛けて行ったのですが、そこにはたくさんのたっぷりの愛が溢れていました。

二人して帰り道はずっと、ずっ〜と熱く語り合っちゃったくらいだからね。


『第1回神流マウンテンRun&Walk

今までたくさんの大会に出て来たけれど、こんなにも素敵なおもてなしを受けた大会は初めてかもです。
温かくって、熱くって。

神流(かんな)であったことを伝えておきたいなぁと思っています。
私の言葉でうまく伝えられるかなと躊躇してしまうくらい、素晴らしい大会でした。


群馬・高崎駅に町が用意してくれた20人ほどが乗れる小さな送迎バスが2台。
1時半に出発予定でしたがまだ到着していない人が2人いてその人を待つために15分遅れで出発でした。
待つ間もまだ到着しない人に連絡を取っているみたい。一人は5分後に来ましたがもう一人は現れず。
その一人の方のことをすごく心配している様子です。
そうです、このバスはただの送迎バスではありませんでした。
まさしく『お出迎え』なのです。

このバスに乗っていたお迎え係りのお姉さま。優しい口調で『どこからいらっしゃいましたか?』『トレイルの大会にはよく参加されているのですか?』『ここから山道できついカーブが多いので気分悪くなったら言ってくださいね』『トイレ行きたい人はいませんか』と気さくに話し掛けてこられます。
車窓から見える景色を説明してくれたり、神流町の話、笑福亭鶴瓶さん・ハンカチ王子がこの町に来た時の話など。
いつもの『大会関係者』さんとはどこか違う。全然違う。

車窓から見える景色は紅葉が素敵でした。
もうこれを見れただけで来たかいがあったなと思えるくらい。高崎駅から1時間半ちょっとの旅でした。


そして、神流町の大会会場へ到着。
ここが町の中心地だそうです。人口2600人っていってたかな。
四方を山に囲まれ、美しい神流川が流れ、空がとても青く、小さな町。
会う人みんなが私たちを暖かく迎え入れてくるのが伝わってきます。


参加受付の係りの方もゆっくりと穏やかに、とても丁寧に応対してくださいました。
参加者全員に手作りの木彫りの名札が渡されます。
作ったばかりなのか木のいい匂いがします。


受付後はレースプロデューサーの鏑木さんのトレイルランニングセミナーに参加。

この大会は私のようなビギナーの方が多かったせいかみんな熱心に聞いていました。
また鏑木さんにとってはこの神流はご自分の練習コース。いつかここでレースをしよう思い続け、やっと実現した初プロデュースの大会です。
この思いを熱く語ってくれました。


そして、場所を中学校の体育館に移して前夜祭パーティー

地元の物産をたくさんたくさん用意してくれました。
鮎の塩焼き、ジャガ芋の味噌焼き(炭火で焼いてありましたよ)。


白いんげん豆(これがめちゃくちゃ美味しかった)、蒸した赤芋、ジャガ芋コロッケ、きんぴらごぼう、そば、うどん、そばがき、おから、赤飯、しいたけ・ししとうの天ぷら、野菜サラダ。こんにゃくの味噌田楽など、いっぱいあったよ。
バイキング方式なんだけど食べても食べてもまた出てくるの。
いったい何人分用意されていたんだろう?
しかも余ったものは最後にパックに詰めてくれてお土産としてもたせてくれたの。

酒類もた〜くさん。
ビールにジャガ芋焼酎、日本酒、ワイン、もちろんボトルでどんどんテーブルに振る舞われます。
竹で作られたコップはお土産として持ち帰りOKでした。


各テーブルには鏑木さんや招待選手の横山さん、松本さん、星野さん、町の人達が回ってくれました。
お酒を酌み交わしたり、写真を撮ったり、サインをしてもらったり。
私は横山さんにワインをコップいっぱいにおつぎしたら一気飲みしてくれました。すごっ。


また各テーブルは宿泊先毎に設定してあったのですが、ここで会った初めましての皆さんともすぐに打ち解け親しくなれましたよ。

しかもお一人の女性とはSAJの大会『川の道』『オクム』でもお会いしていたことが発覚し、嬉しい再会でした。

私と女将はレース前なのでお酒は控えめにして、もっぱら食べてばかりいました。
でも酔わなくても十分楽しめたな。


こんなにも和やかで盛り上がった前夜祭は今まで経験ないですね。

会場にいるみんながとっても楽しそう。笑顔がいっぱい。


どうしてここまで神流町の皆さんはしてくれるんだろう…これは町を離れる時まで何度も何度も思いましたね。

こうして感激、感動の素敵な夜を送りました。





大会当日の朝を向かえました。
4時起きでしたが、私はいつもの如くレース前夜は緊張して1時間くらいしか眠れず。

宿で用意してくれた朝食は握ったばかりのホカホカおにぎり3個(梅、鮭、昆布)にお味噌汁、バナナ、オレンジジュース。
おにぎりは2個だけ食べて1個はラップにくるんでレースに持って行くことにしました。

宿のバスで会場まで送ってもらい、いよいよスタートの7時を向かえます。
第1回のレースを祝福してくれるかのような晴天。

ただ…悲しいことに女子の月例の一番最悪な日にBINGOでした。
朝からお腹痛いし、腰はダルダルで辛いし。

でも3ヶ所のエイドステーションにはトイレが用意してあるので助かりました。

鏑木さんのスタートの『ぷぉ〜ん』(何ていうのか分からない)が鳴り響き、音花火も上がりました。

ランナーが付けている熊鈴が一斉に鳴り出しました。熊鈴の合唱です。何だか不思議な気持ち。

最初はロードで町の中心部をぐるっと回るので沿道では町の皆さんが応援してくれます。
この応援はおじいちゃん、おばあちゃん、ちびっ子達で学生や大人は大会スタッフとして働いてくれているみたい。
旗を笑顔でフリフリしながら声を掛けてくれるおじいちゃん、おばあちゃん。
パジャマ姿のちびっ子達もいました(いきなり起こされて連れて来られたんだろうなぁ)

みんなに手を振って答えます。
もうこの時から嬉しくて涙が出てきそう。

そして鏑木さんは先回りして、激上り坂はぁはぁの絶妙なタイミングの位置に居てくれてハイタッチで送り出してくれました。

そこからのコースは『ラン&ウォーク』の大会名が納得出来ました。
だって走れないんだもん。
激坂をずっとひたすらみんなで歩きます。

けれど渋滞が起こっても誰も焦ってる風はありません。
誰もがこの辛い瞬間を心から至福だと味わっているのかも。

美しい風景、紅葉、激上り坂、脚がすくむ激下り坂、落っこちるよ〜と思う崖っぷち、岩を四つん這いで伝ったり、そして極上のふかふかトレイルをすっ飛ばし、鏑木さんと神流町の皆さんの作ったトレイルコースに酔いしれました。

たくさんのスタッフボランティアの方が危険なところ、分岐では案内をしてくれていたり、ヘリコプターが上空を常に飛んで山でレースが行われていることを知らせてくれていました。
というのも15日は狩猟の解禁日で毎年たくさんのハンターが入山されるそうです。
もしものことがあってはいけないと警察は何度もこのレースの中止か延期を言い渡したらしいのですが、神流町の皆さんは決行の決断をしたとのこと。
その変わりたくさんのスタッフを前夜から山の入口に立たせたり、車の検問をしたりと出来るだけの対策を取って臨まれました。
また3日ほど前には参加者一人ずつに連絡を取って、こういう事情なのでもし参加を見合わせるということでしたら参加料返金+町のお土産を送ります。レース直前の不手際で申し訳ないとのことでした。

こんなにも一生懸命な町の皆さんに守られて私たちはレースを走らせてもらいました。
最後のエイドでの手打ちそばが極上だったことは言うまでもありません。


ゴールが近付いてきた瞬間に涙がこぼれそうになりました。
町の皆さんが私のゴールを自分のことのように喜んでくれています。

ありがとう、ありがとう…って言葉を返しながら、町の皆さんが杉の木で作った立派なゴールゲートに飛び込みました。

中学生くらいの少年が『おつかれさまでした』とタオルを肩に掛けてくれました。


神流のお山に酔いしれた私の6時間弱。
豊かな、穏やか気持ちで過ごせた私の大切な時間でした。


また女子で5位、年代別では2位で表彰してもらい鏑木さんから『大変なコースを良くがんばりしたね。また来年も来てくださいね』と賞品をいただきました。


ええ、必ず来年も神流に遊びに来ます。
優しい神流の町に会いに行きます。